上勝町の「葉っぱビジネス」 小平市議会議員 苗村洋子
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2007 年 10 月 7 日    
上勝町の「葉っぱビジネス」

 前回、徳島県上勝町がかかえる(全国的な問題でもある)山林の荒廃と、その中で町が独自の取り組みを進めようとしていることを書きました。今回は「葉っぱビジネス」について報告します。
 この彩(いろどり)事業をつくり出し、株式会社いろどり(第三セクターで社長は町長)の副社長として事業を展開している横石知二さんは、外からこの町に入ってきたそうです。30年近く前、いつも田舎は負け組という意識、あきらめ意識が強く、人を批判することばかりでした。この悪い慣習から脱却することをめざし、高齢者の多い町で女性の仕事はないものかと探していました。たまたま立ち寄った大阪のお店で、女性客が食べものよりも料理に添えられていた花や葉っぱに感動している会話を聞いて、上勝町にはこんなものたくさんある、環境の違いを活かせばいいんだ、「これはいける」と直感したのが、この事業の始まりです。ところが、声をかけてみると、こんなどこにでもあるものを売るなんて恥ずかしい、売れるわけがないとさんざんで、とりあえず4人からスタートしました。はじめは売れず、なぜ売れないのかと悩んだそうです。料亭に通い(料理場に入れてもらえなかったので客として)、使われ方や使う人が何を求めているのかを知ります。全国のお店や市場へ営業に歩き、取り引き先を広げていきます。また、「葉っぱ」ビジネスに半信半疑の高齢者を料亭に連れて行きました。そこで参加者は“自分ところ”の価値を知り、「やってみよう」という行動につながっていくのです。こうして、町の人たちの関心が高まり、生産者が増えていきます。生産主体は女性や高齢者で、平均年齢70歳、190人が参加しています。
 いっぽう、発注や流通管理についても工夫がされています。生産者には同報無線FAXで同時に発注情報が届きます。その中で自分が出荷できるものをJAに電話をかけて受注しますが、この電話は早い者勝ちで、1秒勝負です。ですから、何がどれくらいとれるかを常に把握しておく必要があります。受注したら「葉っぱ」を収穫し時間までに出荷します。JAではバーコードを使って流通管理をしています。さらに、生産者が情報を得ることが必要と、高齢者専用パソコンを開発しました。市況、出荷、個人の売り上げ、市場分析結果などの情報を提供しています。マウスを使わずに専用キーボード(数字とカーソル、限られたURL選択ボタン)と大型トラックボール(クリックするため)をつけた生産者端末は、仕事への意欲を生み出す道具として活用されています。
 横石さんは、しくみをつくり人の意識が変わることが大切で、自分で考える習慣をつけること、自分のこととして問題意識を持つことが必要だと言います。個が変われば地域が変わり、地域が活性化すればさらに知恵が生まれて、経済も地域の魅力も評価が高まり活性化されていきます。この事業を始めて仕事ができたため、町を出て行った息子が妻子を連れて戻ってきた家もあるそうです。「世界中探したってこんな楽しい仕事はないでよ」生き生きと仕事に励む高齢者の姿は、みんなを元気づけてくれます。町には寝たきりの人が少ないとか。人を元気にするには、出番と評価が何よりも大切です。高齢者の幸せは何かを考えると、福祉施設の充実だけでなく自分が必要とされている居場所づくりこそが求められているというのです。「人は誰でも主役になれる」横石さんの言葉から、地域の中で老若男女が生き生きと暮らす姿が映像のように見えました。



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